Photo:谷岡康則 Yasunori Tanioka
「何処でもない/何処でもある 地上の空間」 和田みつひと
Gallery Hasu no hana は、大田区鵜の木にあるオルタナティブ・アートスペースです。このアートスペースは、2011年に築70年の木造建築を再生し設立しました。そして、2018年11月半ばに、建物老朽化のため完全退去し、品川区戸越公園へ、移転が決まっています。
『何処でもない/何処でもある 地上の空間』― このプロジェクトは、退去作業中のアートスペースを舞台に、自己言及的ライブ映像のプロジェクションによるインスタレーションを公開するというものです。
退去するということでは、その場所でのアートスペースとしての活動は、終わりです。しかし、内部の物が撤去されて、建物構造のみになる場所にとっては、元の状態に戻るだけとも言えます。つまり、直線的時間で捉えるとスペースの終わりでありながら、円環的時間で捉えると、新たな始まりの時間なのです。
当プロジェクトでは、「終わり」でもあり、「始まり」でもある日常の一コマの中に介入し、「何処でもない」と同時に「何処でもある」時空の創出を試みます。その時空こそ、鑑賞者にとっても、鑑賞者を取り巻く場所にとっても、自己自身を取り戻す時空となることでしょう。